正直読書

本のこと、日常のこと。司書の勉強中。

異常な患者になぜか共感してしまう?『イン・ザ・プール』

イン・ザ・プール (文春文庫)作者:奥田 英朗発売日: 2006/03/10メディア: 文庫>> 「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未…

素敵なものを「寄せ集め」て…『夢見る帝国図書館』

夢見る帝国図書館作者:京子, 中島発売日: 2019/05/15メディア: 単行本>> 本がわれらを自由にする。明治に出来た日本初の図書館と戦後を生きた喜和子さん。ふたつの物語は平成でひとつに―(「BOOK」データベースより)これ、本好きの心を擽りまくる秀逸タイト…

異色の良質ミステリー――『闇に香る嘘』

闇に香る嘘 (講談社文庫)作者:下村 敦史発売日: 2016/08/11メディア: 文庫>> 孫への腎臓移植を望むも適さないと診断された村上和久は、兄の竜彦を頼る。しかし、移植どころか検査さえ拒絶する竜彦に疑念を抱く。目の前の男は実の兄なのか。27年前、中国残留…

バイオレンスに浸かりたい人向け。――『独白するユニバーサル横メルカトル』

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)作者:平山 夢明発売日: 2009/01/08メディア: 文庫>> タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。彼が語る、主人とその息子のおぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表…

リアルな隣国の姿――『現代中国「解体」新書』

現代中国「解体」新書 (講談社現代新書)作者:梁過発売日: 2011/06/17メディア: 新書たまにはこういうものも。今年は新型ウイルスが大流行し観光地の様子も例年とは異なるようですが、国内旅行をすると日本人よりも外国人のほうが多くて、「私はいつの間に海…

「空虚」を体現する精神科医――『心臓抜き』

心臓抜き (ハヤカワepi文庫)作者:ボリス ヴィアン発売日: 2001/05/01メディア: 文庫>> 内容(「BOOK」データベースより) 過去を持たず、空虚な存在として生まれた精神科医ジャックモール。その精神分析は、他者の欲望・願望を吸収して自己を満たすために施…

充たされないのは、一体誰?――『充たされざる者』

充たされざる者 (ハヤカワepi文庫)作者:カズオ イシグロ発売日: 2007/05/01メディア: 文庫 世界的ピアニストのライダーは、あるヨーロッパの町に降り立った。「木曜の夕べ」という催しで演奏する予定のようだが、日程や演目さえ彼には定かでない。ただ、演奏…

はじめまして。

はじめまして、おいぬと申します。 この間初めて仙台に旅行したときに食べたずんだ餅。美味しすぎて2人分平らげました。 首都圏在住、普通のOLです。 これまで読んだ本の備忘録として、また社会人になってから語彙力の低下が著しいので読書感想文ブログを開…