正直読書

本のこと、日常のこと。司書の勉強中。

ミステリー

読めば読むほど引き込まれる「その道の先に消える」

その先の道に消える作者:中村文則発売日: 2018/10/05メディア: 単行本不思議な本だ。 読み始めて、「あ、コレは駄目だわ」と思った。 好意を寄せる女性が犯罪に巻き込まれて、刑事の「富樫」が証拠を改竄してまで彼女を救おうとする話。 ドラマや映画なんか…

「夏のレプリカ」の杜萌ちゃんについて思うところ

夏のレプリカ (講談社文庫)作者:森 博嗣発売日: 2000/11/15メディア: 文庫S&Mシリーズのなかでも唯一無二の存在感を放つ杜萌ちゃん。 そんな彼女について思うところを語っていく。 「ままならなさ」に支配される杜萌ちゃん 「夏のレプリカ」は、萌絵ちゃんと…

森博嗣の手のひらで転がされる「幻惑の死と使徒」

幻惑の死と使途 (講談社文庫)作者:森 博嗣発売日: 2000/11/15メディア: 文庫 曖昧さのなかにある核心 本作の被害者はマジシャン。そして舞台はマジックショー。 イリュージョン中に亡くなった彼は、どうして殺されたのか。 イリュージョンのトリックや、容疑…

「幻惑の死と使徒」と「夏のレプリカ」を交互に読んでみた

幻惑の死と使途 (講談社文庫)作者:森 博嗣発売日: 2000/11/15メディア: 文庫夏のレプリカ (講談社文庫)作者:森 博嗣発売日: 2000/11/15メディア: 文庫 一体なにが起きてしまうのか? 森博嗣のS&Mシリーズ6、7作目。とても斬新な作品である。 「幻惑の死と…

名作に挑戦!「Yの悲劇」

Yの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者:クイーン,エラリイ,利泰, 宇野発売日: 1988/08/01メディア: 文庫 名作=面白い は成り立つのか? お正月にサッと読もうと思い、図書館から借りた一冊。 当然三が日で終わるはずもなく、他の本も読みつつで読み終わるの…

色々突っ込みどころのある「封印再度 WHO INSIDE」

封印再度 (講談社文庫)作者:森 博嗣発売日: 2000/03/15メディア: 文庫 終始ハッピーな2人 S&Mシリーズ5作目。 見所は間違いなく、萌絵ちゃんの企てたエイプリルフールの悪戯だ。 諏訪野や周りの大人を巻き込んでまで犀川先生に一泡吹かせたい萌絵ちゃんと、…

萌絵ちゃんが成長してる!森博嗣も成長してる!「詩的私的ジャック JACK THE POETICAL PRIVATE」

詩的私的ジャック (講談社文庫)作者:森 博嗣発売日: 1999/11/12メディア: 文庫「すべてがFになる」ではピカピカの大学1年生だった萌絵ちゃんが、今作では徹夜で課題に取り組む3年生に。 中国出張中の犀川先生にかわり、途中まで萌絵ちゃん1人で事件に挑む。 …

定義すれば、存在する「笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE」

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)作者:森 博嗣発売日: 1999/07/15メディア: 文庫いやぁ〜、面白かった! ミステリーに館はつきものだけど、これはその中でも特にお気に入りだ。 萌絵ちゃんと犀川先生が招待された「三ツ星館」に隠された謎…

シリーズで一番地味かもしれない「冷たい密室と博士たち DOCTERS IN ISOLATED ROOM」

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)作者:森 博嗣発売日: 1999/03/12メディア: 文庫SMシリーズ2作目。 正直、謎解き自体はシリーズの中で一番地味だと思っている。 前作の「すべてがFになる」で「うおおおお最高!」となった人が、今作で「あれ…やっぱいいか……

原点にして頂点「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER」

すべてがFになる (講談社ノベルス)作者:森 博嗣発売日: 1996/04/03メディア: 新書いやぁ、最高でした。犀川先生と萌絵ちゃん最高。可愛い。 二人の結婚式いつですか? 殺人事件に関するミステリーパートと、犀川先生と萌絵ちゃんのイチャイチャパートが交互…

色褪せないハードボイルド小説の名作「不夜城」

不夜城 (角川文庫)作者:馳 星周発売日: 1998/04/23メディア: 文庫新宿歌舞伎町を舞台に、中国人のヤバい奴らがなんやかんやする物語である。 というふうに説明すると、ちょっとキャッチーにも見えるが、実際は絶望の連続。バイオレンスアンドバイオレンス。 …

ちょっと欲求不満なスパイミステリー「ジョーカー・ゲーム」

ジョーカー・ゲーム (角川文庫)作者:柳 広司発売日: 2011/06/23メディア: 文庫本当に何も他意はないが、一言で表すと「大衆向けミステリー」。 こう書くと貶しているような感じがする気がする…。 じゃあ何だ、「一般向け」?いや、なんか「私、玄人なので」…

斬新なエンタメミステリー。イッキ読み注意。「屍人荘の殺人」

屍人荘の殺人作者:今村 昌弘発売日: 2017/10/12メディア: 単行本 第27回鮎川哲也賞を受賞し、その翌年に早くも映画化され話題になった本作。私は本作を映画化されるタイミングで知りましたが、宣伝方法や主題歌からして、「本格ミステリー」ではないのかな…

現代版「藪の中」は気味悪さ・後味悪さが絶妙!「ユージニア」恩田陸

ユージニア (角川文庫)作者:恩田 陸発売日: 2008/08/25メディア: 文庫この小説を読んでいて、芥川龍之介の「藪の中」を連想した方は多いのではないでしょうか。 私は文庫本を読んだのですが、本の帯に「誰が真実を話したの?」というキャッチフレーズが付け…

異色の良質ミステリー――『闇に香る嘘』

闇に香る嘘 (講談社文庫)作者:下村 敦史発売日: 2016/08/11メディア: 文庫>> 孫への腎臓移植を望むも適さないと診断された村上和久は、兄の竜彦を頼る。しかし、移植どころか検査さえ拒絶する竜彦に疑念を抱く。目の前の男は実の兄なのか。27年前、中国残留…