正直読書

本のこと、日常のこと。司書の勉強中。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

緻密に作り込まれた世界観に圧倒される――『新世界より』

新世界より(上) (講談社文庫)作者:貴志 祐介発売日: 2011/01/14メディア: 文庫>> 1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入するこ…

創作が溢れる現代に改めて読みたい――『そういうふうにできている』

そういうふうにできている (新潮文庫)作者:さくら ももこ発売日: 1999/06/30メディア: 文庫>> この腹の中に、何かがいるのである。大便以外の何かがいる…!テスターによるショーゲキの妊娠発覚、どん底でバカバカしいギャグを考えてた悪阻期、悪魔の封印石の…

異常な患者になぜか共感してしまう?『イン・ザ・プール』

イン・ザ・プール (文春文庫)作者:奥田 英朗発売日: 2006/03/10メディア: 文庫>> 「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未…

素敵なものを「寄せ集め」て…『夢見る帝国図書館』

夢見る帝国図書館作者:京子, 中島発売日: 2019/05/15メディア: 単行本>> 本がわれらを自由にする。明治に出来た日本初の図書館と戦後を生きた喜和子さん。ふたつの物語は平成でひとつに―(「BOOK」データベースより)これ、本好きの心を擽りまくる秀逸タイト…

異色の良質ミステリー――『闇に香る嘘』

闇に香る嘘 (講談社文庫)作者:下村 敦史発売日: 2016/08/11メディア: 文庫>> 孫への腎臓移植を望むも適さないと診断された村上和久は、兄の竜彦を頼る。しかし、移植どころか検査さえ拒絶する竜彦に疑念を抱く。目の前の男は実の兄なのか。27年前、中国残留…