正直読書

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三体世界との戦い「三体Ⅱ 黒暗森林 上」

三体Ⅱ 黒暗森林 上

三体Ⅱ 黒暗森林 上

  • 作者:劉 慈欣
  • 発売日: 2020/06/18
  • メディア: 単行本

延滞回避

前作を読み終えてからはや4ヶ月。

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図書館で予約していた「三体」の続編が届いた。
智子ってなんだっけ?最後どういう結末だったっけ?
などとウダウダしていたら、あっという間に返却日目前に。

図書館で働く身として、延滞は許されない。
読書できる時間を見つけては、猛スピードで読みこんだ。
・・・3作目まで終えたら、もう一度読み直そう。

シンプルセンテンス

もともと私は一言一句じっくり読み込むタイプではないが、こんなにザックリ読んでも話が入ってくるのは、それだけテキストがシンプルであるためかもしれない。


前作では世界観の説明に多くのページが割かれていたし、高度なテクノロジーの描写がよく分からず(理系アレルギー)、めげるポイントもいくつかあった。
しかし、今作は「誰が」「何のために」「何をした」がメインなので読みやすい。


主題がはっきりしているのも良かった。
すなわち、「人類より高度な技術をもった三体世界との戦い」である。
世界から選ばれた4人は「面壁者」と呼ばれ、人類を救うために奔走する。


前作では、三体世界と人類との間で揺れ動く人々が中心だったが、今作は完全に人類目線だ。
三体世界のキャラクターはあまり登場せず、あくまでも人類の敵として描かれる。


このため、あくまで読者は人類側として、どうやって三体世界と対峙すればよいのか、その1点にとりあえず集中することができる。
私が感じた没入感は、こうしたテーマの絞り込みにあったのかもしれない。

2作目を読み終えて

三体シリーズも、残すところあと1作。
疾走感あふれる今作は、最終作への期待感たっぷりで終幕した。


面白かったけど、1作目に感じた神秘性みたいなのは全くなくなっていて、
あっけらかんとした、ある種の「快活さ」みたいなものを感じた。
とりあえず3作目も読むけれど、1作目を読み始めた当初に感じたトキメキは今はない。


総合的な評価はすべて読み終えてから、だけど、「面白かったけど、好きではないかな」に落ち着きそう。