正直読書

本のこと、日常のこと。司書の勉強中。

私が図書館で働くことになった理由④

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文字が読めなくなる

上長から宥められた後、私は以前と同じように仕事をしていた。
メンタルクリニックを予約してキャンセルしたことも、上司の言葉も無かったかのように、普段通り通勤し、仕事をし、パワーハラスメントを受けていた。


ある日の昼休憩、お弁当を食べても味がしなかった。
私の好きなエビ寄せフライも、スポンジを噛んでいるかのようだった。
昼休憩が終わってから、仕事に取り組もうとすると、不思議なことに、文字が読めなくなっていた。
何とか手元にある文書を読み解こうとしてじっくり見ても、何も起こらず、時間だけが過ぎていく。


本当に、体がおかしくなってしまったのだ。


これでは仕事ができない。
仕事を片付けてから早退しようと考えたが、驚いたことに、自分の仕事をすべて終わらせていたのだった。
パワーハラスメントに後輩も加担してから仕事が減っていたこともあるが、私はどこかで、今日こうなることを分かっていたのかもしれない。

抑うつ状態の診断が出る

早退をしたのは金曜日だった。
土曜日、日曜日を挟んで月曜日には出勤するだろうと上司たちは考えていたようだが、私はもう仕事へ行くことが出来ないと悟った。


メンタルクリニックを漸く受診すると、「抑うつ状態」で、3ヶ月の休養を要するという診断書が出た。
抑うつ状態については以下のクリニックの説明が分かりやすく、私の状態もほぼこんな感じだった。
抑うつ状態・うつ病・適応障害« つくばねむりとこころのクリニック


仕事を休むには診断書が必要だったし、この状態なら何らかの診断は出るだろうと予想していた。
しかし、実際に診断書を受け取ると、私は病気になってしまったのか、これから普通に生活していくことは出来ないのだろうか、と無性に不安になり、焦り、動揺した。

自宅療養がはじまる

診断書を突きつけて、上司は困惑していたが、ひとまず3ヶ月間の療養期間を貰うことになった。
薬の服用と、定期的な受診を言い渡された他には、何もすることがない。
いつもの私なら、何を読もうか、とワクワクするのだが、自宅療養が始まった当初は本を読めるような体調ではなかった。


食べることも寝ることも起き上がることもできず、寝転がって1日を終えた日もあれば、1日中時計の針を眺めていたこともある。何をしても落ち着かず、家中を歩き回っていた日もあった。
仕事を休んでいる罪悪感や、もっとやれたのではないか、あの時こうすれば良かったのではないか、という後悔の念が次から次へと浮かんでは消えた。


安定剤を定期的に飲み、不安な気持ちが大きくて辛い時は睡眠薬を飲んで寝てしまうこともあった。
薬を使うことに少なからず抵抗はあったが、定期的に飲むというルーティンは、毎日にメリハリを生み出し、安心にもつながった。

このブログを始めるきっかけ

自宅療養開始から2ヶ月程経ち、体調に変化が表れた。
胸にずっと巣食っていた不安が少しずつ溶け始め、テレビを見たり、本を読んだり、ご飯を食べたりするなど、何か1つの行動に集中できるようになったし、「〇〇がしたい」という前向きな気持ちが出てきたのだ。
ストレスの原因である奴のいる職場から離れているのだから、当たり前のことなのかもしれないが、本来の自分が戻ってきたような気がしてとても嬉しかったのを覚えている。


ちょうどクリニックでも、本を読んだり、文章を書いたりしてみましょう、という提案を受けたところだった。
落ちてしまった集中力や思考力を取り戻すための訓練である。


そういえば、本を読むことも、文章を書くことも昔から大好きだった。
小学生や中学生の頃は、読書感想文の宿題が待ち遠しかったっけ。
自分の好きなことに、もう一度向き合ってみよう、そう思ってこのブログを始めた。


就職してからというもの、私の意識は周囲の様子を伺うことばかりに使われていた。
自分のためだけに使う時間はとても幸せで、贅沢だ。
少しばかりの後ろめたさを感じながらも、記事の下書きが増えるとともに、体調も回復していった。