正直読書

本のこと、日常のこと。司書の勉強中。

図書館で潰れそうになった

まさかこんな事があるとは思わなかった。


図書館業務を頑張りたい、信頼されたい、自分の持てる力を発揮したい。
そんなことを考えながらズンズンと仕事に向かっていた。


コロナ禍で思うように行事が出来ない中、新たなイベントを実施したり、発行物を手掛けたり、色々なことをした。


本当に、今思えばメンタル病み上がりの人間がやることではない。
でも、当時はがむしゃらに動いていた。


前職場では思うように仕事が出来ず、良い評価を得ることができなかった。
環境さえ整えば、私も人並みに仕事ができるのだと、誰かに証明したかったのだと思う。


前職場がいけないのであって、私は悪くない。
いつしか、自分が納得しているだけの状態では満足できなくなり、仕事のパフォーマンスを通して周囲に示そうとしていた。


帰宅時間が18時から20時、23時と伸びていっても、前の職場ではもっとやっていたし、昔とは違って人が良いのだから大丈夫だと思っていた。


仕事、家事、司書の勉強、これまでブログで言及していなかった学生時代から続くアマチュア演奏活動。

いつのまにか職場は書類でいっぱいになり、演奏は疎かになり、髪や爪はケアが行き届いておらず、目の下にはクマ。


そんななか、4月から新たに引き継いだ業務が、さらに負担となった。
引継ぎが不十分だった上に、前担当が1人で行っていたため、周囲も業務内容が分からなかった。


ある日、ひたすら動き続けていた脳と手が止まった。
積み上がっている仕事を把握しきれていないことや、優先順位が分からなくなっていることに気づいた。


みんなが作業をするオフィスで、言葉が口をついて出た。

あ、あの、わたし、今何をすればいいのか分からなくなってしまって、今持っているのは、これとこれと、あとこれが意味分からなくて、あとこれも回答期限が近づいていて、


言葉は震え、指先が冷たくなっていた。
顔はきっと赤かったし、辛うじて涙を流すことはしなかったが、涙目なのは気付かれていただろう。


上司や同僚が、仕事を分担してくれることになった。
その日の休憩中、2日後のメンタルクリニックの予約を入れた。


ここ2ヶ月、吐き気や消化不良、だるさ、胸の圧迫感など、メンタルを崩していた頃の体調不良が戻ってきていたからだ。


パワーハラスメントの加害者と離れたからといって、すぐに心が治癒する訳ではない。
このことを、私自身が思い違いをしていたようだ。

つい先日、ガンガン行こうぜみたいな日記を公開したことを少し後悔している。

弱った心と、もう少し付き合っていかなければならない。


メンタルクリニックの予約時間まで、まだ時間がある。
いつもなら司書の勉強をするところだが、今日はしない。

近くのカフェでコーヒーを飲みながら、弱くて愛すべき自分を少しだけ甘やかす。

2021/4/21日記

ここ暫く、本を読んでいない。
同棲を始めておよそ一ヶ月。
仕事や家事に追われ、本当に時間がない。


今この文章を書いているのも、煮物を作っている合間だ。


ほんの2ヶ月前は、頭のなかに色んな言葉が飛び交って、あれを読みたい、これを書きたい、というような欲求がたくさんあったものだ。


今私のなかにある言葉は、何時に起きる、お弁当に何を詰める、今日のご飯は何にしよう、洗濯はいつにしよう、今日の天気は何かしら、などなどなど。
生活に根ざした言葉ばかり。


素敵な言い回しとか、洒脱な文章なんてものはない。
あるのはいかに毎日を生きていくか、そして少しでも休息が取れるか、そんなものだけ。


こうして人間は家庭や社会に入っていくのかしら。そんな思いばかり堆積していく。

日記はここで終わっている・・・・・


今から3ヶ月ほど前、何か記事をアップしなくては、と思ったのか、下書きとも言えないメモを残していた自分。文章からだいぶ疲弊している様子が伺える。
今も本を読んでいないのは変わらない。司書の勉強が優先である。


私は極端な性格なので、勉強すると決めたら何かを犠牲にするし、どっちも程々に、ということはしない。
これまで読書していた時間をすべて勉強に当てると決めたのだ。


資格取得は2022年3月まで。それよりも早くレポートや試験が全て終わったら、その時点で資格が手に入る。


図書館全ての業務を通じて、読みたい本がこの世に溢れていることを日々痛感する。
生殺し状態である。

この状態を早く脱して、心置きなく読書がしたい。
司書の勉強、早く終わらせなくては。

おすすめされた本を読んでみた「怪盗探偵山猫 月下の三猿」

怪盗探偵山猫 月下の三猿

怪盗探偵山猫 月下の三猿

  • 作者:神永 学
  • 発売日: 2016/09/30
  • メディア: 単行本


Twitterフォロワーさんに教えてもらった本。
神永学の本は「心霊探偵 八雲」以来。相変わらずのスタイリッシュさであった。


ちなみにこの本はシリーズ5作目。
最近は仕事が溜まってオーバーフロー気味だった私。
突如現れた束の間の休日に浮足立っていたのか、なぜか半端な巻を手に取ってしまった。


しかも、次の6作目でシリーズは完結するという。
いきなりトップスピードの物語に途中乗車する形になったが、すんなり入っていくことができた。

かっこよさのど真ん中

「八雲」でも感じていたが、神永学は「こうだったらカッコイイよね」を全て回収していく作者だと思う。


山猫は言ってしまえば窃盗犯だが、その技術は卓越していて、時には冷徹とも言える判断力や洞察力を持ち合わせていながら、ハートフルな一面もある。

これまでの犯行で得た巨額の富を持て余し、片手間で複数のバーを営み、蠱惑的な雰囲気を纏う女性と訳有り気な会話を楽しむ。

ビジュアルについては本作では言及されていなかったが、人並み外れた美貌の持ち主であるはずだ。

持てるものは全て持った、完全無欠ヒーローである。


かっこいいのは山猫だけではない。

ヤクザの父親を持つ女子高生、飄々とした雑誌記者、復讐に燃える刑事などなど、登場する全てのキャラクターが魅力的に描かれている。


きっと、シリーズの他作品では、それぞれの人格形成に影響を及ぼした出来事がきちんと描かれているのだろう。

不意によぎる回想シーンもあいまって、登場人物を理解したい、何があったのか知りたいという好奇心が頭を擡げる。


現在、過去、全ての要素が組み合わさって、「かっこよさ」「スタイリッシュさ」全開の神永ワールドを構成している。


唯一、スタイリッシュな雰囲気とはかけ離れていた細田にもちゃんと見せ場があるんだもんなあ、流石だよなあ。

その他の感想

万事休す!というタイミングで山猫が登場する時は、何故か音程の外れた鼻歌がセットのようだ。
ニュアンスはきっと違うんだろうけど、この部分だけ、はやみねかおる夢水清志郎がよぎった。


ドラマ版では、亀梨和也が山猫役だったようだ。
納得のキャスティング。

映像化したら映えそうな場面が多い。
何となく、神永学はクリエイターとして、自分の頭の中で映像を作って、それを言語として翻訳しているのかな、と思った。何となくだけど。


この本をおすすめしてくれた方は、佐藤究の「QJKJQ」もお好きだという。

佐藤究だったら「Ank: a mirroring ape」を激推しする私だが、確かに。「山猫」が好きな方はきっと「QJKJQ」も気にいるだろう。納得。